大阪で少林寺拳法 〜 金剛禅総本山少林寺 大阪高槻道院

少林寺拳法と心の修行 ~僧階のススメ~

Posted on 2010年09月21日


少林寺拳法は「心と身体の両方を鍛える拳禅一如の道である」と普段の稽古から口を酸っぱくして言っているわけですが、身体の方は少林寺拳法の技術の修練を通じて鍛えられるのはなんとなくわかる。

では、心の方はどうやって鍛えているのかと言えば、「教えの実践」を通じて鍛えることになる。

この「教え」っていうのは何かと言えば、三級の試験を受ける際にちょろっと書かされるレポートの中にある、「少林寺開創の動機と目的」の部分に当たる内容で、少林寺拳法の目的は「人づくりによる国づくり」で、その目的を達成するために、人間教育を行う。

その人間教育を行うのにベースになる「教え」が何かと言えば、釈尊の正しい教え、ということになるわけですが、三級のレポートを書いてもらうと、みんな綺麗に「釈尊の正しい教え」という部分を抜けおちて書いてくる。

学科の時間にものすごく強調していても抜けてしまうのだから、このあたりのことはもうちょっとしっかり説明した方が良さそうだ(・・)(。。)

■僧階補任講習■

さて、少林寺拳法の教えのベースは「釈尊の正しい教え」という前振りをしたところで、昨日受講してきた僧階補任講習についてちょっと書いてみようかと思います(=゚ω゚)ノ

まず、少林寺拳法の資格制度には三つのグループがあり、

  • 武階・・・少林寺拳法の技術的な度合いを示す資格
  • 法階・・・金剛禅の修行の度合いを示す資格
  • 僧階・・・金剛禅の僧侶としての修行の度合いを示す資格

の三つがあります。

武階は、皆さんが普段から耳にする「三級」とか「初段」とか「三段」とかいった資格で、文字通り科目表にのっとった技術の習得度合いを示す資格です。

初段以上になると、金剛禅総本山少林寺の道院に所属している拳士には、法階というものが武階とセットで允可され、初段は准拳士が、二段は少拳士の法階が允可されます。

三つ目が、今日テーマにあげている「僧階」で、これは金剛禅の僧侶としての修行の度合い、と書いているように、金剛禅門信徒としてどれだけ「金剛禅の教え」について理解を深め、その「教え」を実践しているか、といったものになります。

言い換えれば、本来の意味での「少林寺拳法の心の修行度合い」について評価されるのが、この「僧階」になります。

で、昨日行われた「僧階補任講習」は、僧階の「中導師」及び「大導師」を允可されるために受講が必須となっている講習会で、本山にて年二回開催されます。

わざわざ本山で開催される講習会になっているのは、僧階は「金剛禅の修行者」であることを認識し、金剛禅の布教者、言い換えれば少林寺拳法のリーダーであることを自覚してもらうために本山で開催される。

本山にて朝の六時から参加者全員で作務を行い、朝食をみんなで食べた後、鎮魂行の実習、少林寺拳法の「修行法」について学び、その後、中導師を目指す拳士は「指導者論、教学原論」を学び、大導師を目指す拳士は「金剛禅の布教について、法話演習」を行う。

講習会の後半では、法座と呼ばれる「少林寺拳法の修行者同士が、お互いに心を開いて話を聞く」という演習が行われ、最後に金剛禅の儀式についての実習を行います。

あたりまえなんですが、最初から最後まで「いかに金剛禅の修行を日常生活で行い、その教えを実践するか」といった事が主題となって講義・演習が行われます。

■僧階こそが心の処方箋の書き方を教えてくれる■

普段の稽古では、やれ逆小手だそれ突天一だと、突いたり蹴ったりする「拳」の修行が中心になっていて、心の修行と言えば鎮魂行の時に、ちょろっと座禅をしたり、ちょろっと釈尊や開祖の教えに触れるぐらいですよね。

鎮魂行で唱えている事が日常で実践できれば、十分少林寺拳法を日常に生かし、身体だけでなく心の修行の成果を発揮しているといえると思うんですが、やっぱり頭ではわかっていても、行動が伴わない。

心の修行には、それ実践するための方策を知る必要があって、その方策を教えてくれるのが、少林寺拳法の「僧階」なんですね。

言い換えれば、少林寺拳法の「僧階」をしっかり学ぶことによって、少林寺拳法を通じた心の処方箋を出すことが出来るようになる。

鬱などの心の病を持っている人に、逆小手を教えて立ち直ってもらえるでしょうか?

僧階の補任講習や、その前に行われた講習会一次の講義でも話されたことですが、世の中の人が求めているものがどんどん変化していて、昔のように単純に強くなりたい、というだけで少林寺拳法を始める人ばかりではなくなりました。

それでもチラシやインターネットみて道場にまで来る人は、自分の殻を破って一歩前に進んでいる人たちで、圧倒的大多数の人たちは、仮に興味を持っていたとしても、その一歩が踏み出せない

そんな人たちのために少林寺拳法で何が出来るのか、と問われれば、単純に逆小手や突天一を教えることだけではないと思うんですね。

今少林寺拳法を修行している皆さんは、一歩踏み出したとてもしっかりした心の強さを持っている人たちです。だからこそ、その自分の中にある心の強さを、いかにそれを持ってない人に伝えていけるのか、その術を学んで、多くの人たちの力になって欲しいと僕は思います。

そのためにどうすればいいのか?

あるいはもっと強い心を持った自分になるにはどうしたらいいのか?

その答えは、少林寺拳法の「僧階」の中にありますので、皆さんが少林寺拳法の「初段」以上になったときは、是非「僧階」に興味を持って、取り組んでみて下さい(-人-)合掌

(北野)