モノを買わせる宗教では幸せになれない
昨日のニュースで結構報道されていたのでご存じの方も多いとは思うんですが、 「新世界」という団体が霊感商法をもちい、相談者から多額の現金を騙し取っていたという事で代表者ら5人が逮捕された。
被害者の数は一万人以上で、被害総額は100億とも160億とも報道されている。
その手法は、「初めは癒やしを売りに勧誘してくるが、だんだんと不安感や恐怖心をあおってくる。先祖への『ご祈願料』などとして支払いを求められた」というものらしい。
このご祈祷料に合わせて、何百万もする書画や宝飾品、その他物品を売りつけるというもの。
この手の霊感商法は、本当に昔からあって、わかりやすいのでは観音様商法。
仏様や神様の像というのは、それ自身は単なる木彫りの人形だったり、或いは鋳物だったりするわけで、作られる前は単なる金属でしかない。
でも、仏様や神様の「形」をしていれば、そこに何かありがたさを感じて大切にしようという気持ちが働く。
まして、薬師如来像なんかだと、病気に効きそうな気がする。
これをもって、病院に入院している患者やその家族に、「ご加護がある」ということで、この手の像を売りつける。
元気な人間だと、そんなものはいりません、と断れるのだけれども、実際に病気を患っていたりすると、何かに頼りたくなる気持ちがものすごく強くなるので、それが怪しい品物であったとしても、さもそうであるかのように語られると、今すぐにでも欲しくなる。
数がありません、貴方で最後です、なんて言われるとさらにコロっといってしまう。
同じように、自分が「不幸である」と本気で思ってしまうと、それから逃れるためには何でもしようとする。
ということは、逆に言えば、自分が「不幸であると思わせる」ことが出来れば、後はどうにでも出来るようになる。
これが、いわゆる「霊感商法」の基本テクニック。
今回逮捕された「新世界」も、ヒーリングサロンを経由して、霊感商法でボロ儲けしていた。
ヒーリングサロンの響きから分かるように、そこに来る人は何かしらちょっと心が弱ってる。
弱ってる人を強くするのはなかなか難しいけれども、弱ってる人をさらに弱くするのは簡単だ。
徹底的にその人を否定すればいい。人格をめちゃくちゃに否定する。
その人の人生を否定する。その人の周りの環境もまた徹底的に否定する。
今その状況に置かれているのは、自分を含めあらゆる周りの事柄がよくない、と信じ込ませる。
人は、極端な幸福と、極端な不幸が一番信じやすい。分かりやすいからだ。
霊感商法というのは、必ずモノがつきまとう。
霊感商法に限らず、今まで問題になってきた新宗教はすべて「モノ」が絡む。
その団体の考えに合わせるために、あらゆる財産を投げ出すように言われる。
その財産の投げ出す先は、もちろん、その団体である。
幸せの書画だの、幸福を呼ぶ立像だの、全てが成功するパワーストーンだの、とにかくモノを買わせる。
問題になった新宗教の中で、タダでモノをくれて、幸せに導いてくれる団体なんて一つもあったためしはない。
モノを買わせる宗教には必ずお金の流れがあり、そのお金の使い道が団体と教祖に向いている限り、モノを買わせる宗教では決して個人は幸せにはならない。
少林寺拳法の開祖宗道臣先生は、少林寺拳法の教えの中に、「自己確立」を説きました。
これは、「強い心を持った自分をつくる」という意味ですが、この「強い心」の中には、「騙されない」という意味も含まれています。
少林寺拳法に入門なさっている方はすでに何回か聞いている話だと思いますが、少林寺拳法の学科のテーマの中に、「正信と迷信」というのがあります。
この「正信と迷信」のお話しが、まさにモノを売りつけるような新宗教に騙されない自分をつくる、という事で、開祖の昔のお話しの中には、そりゃあもう、この手の宗教団体をボロクソに言っているものがありますが、今回の新世界やらその他の団体を見る限りでは、開祖の言うとおり、「おかげやバチを説いて、人心を惑わす団体にロクな団体はない」と思います(・・)(。。)
何にしても、人の心は「弱っている」時ほどもろいもの。
信じやすいものを信じやすい状況にされてしまうのもとても簡単。
だからこそ、「強い心」を持った自分を作る必要がある。
少林寺拳法をやる以上は、ちゃんと正信と迷信を理解して、新世界のような団体に騙されないようにしてくださいね!(=゚ω゚)ノ
(北野)