感染症対策下における特別な昇級試験を実施しました
普段は昇級試験に関しては、合格証書授与式の様子を紹介するときに、昇級試験合格までの様子やこれからの目標などについて一言コメントを書いているので、あまり昇級試験実施直後に何かコメントを公開することはないんですね。
ただ、今回は新型コロナウィルスの感染症対策下における特別な昇級試験でもありましたし、ここに至るまでに従来とは違う様々な面での課題や問題を感じたため、少し書き記しておこうかと。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、修練が突如として中断したのは3/1でした。
この時はまだ新型コロナウィルスのウイルスの影響というよりは、これから感染拡大するかも知れないので、政府が全国の小中学校、高等学校を一斉休校にしたことをきっかけに、スポーツ施設・その他文化施設も含めて全てほぼ同時に閉鎖となりました。
そこから、どんどん感染拡大が報道されるようになり、この処置が解除となったのは5/31でした。
大阪高槻道院の活動が再開したのは6/1からとなり、丸三ヶ月全く修練を行うことが出来ませんでした。
そこから昇級・昇段試験については6/8にUNITYより「原則8月末までは中止とするが、条件付きで一部実施を認める」との通達がなされ、大阪高槻道院では昇級試験は7/19を第一回目、8/16を第二回目の昇級試験日と定め、受験可能な拳士をピックアップし、集中して修練を行ってきましたが、何が一番大変だったって、丸三ヶ月飛んでいるのでこの7/19に受験可能な拳士が集中したこと( ̄▽ ̄;)
昇段試験については3月の受験予定だった拳士だけがこの時期での受験対象となったので、特に大きな混乱はなく修練を行うことが出来ましたが、昇級試験はそうはいきませんよね。
6級から2級まで、少年・一般むちゃくちゃたくさんの拳士が受験待ちになっていたので、これら全ての拳士を受験出来る状態までもってかなきゃいけない。
しかも、従来の相対演練は基本行わない中での試験準備となるため、全ての試験科目を「暗記」してもらった上で、試験の時は単演形式で全部一人でやってもらわなきゃいけないんですよね。
この「単演形式」というのが結構やっかいで、最初は「一人で家で復習できるからいいんじゃないか」と思っていたんですが、一人でやると結構不正確な形で覚えちゃうんですね(^^;
相対演練なら、逆手で持つ・送り手で持つという風に目に見えるので、守法にしても、抜き手をしたとの動作にしても、視覚的も直感的にもわかる。
例えば切抜なんかの手の払う方向は相対でやると間違えないんですが、一人でやると切抜の内も外の違いがイマイチぴんとこない。
こゆのが続出するので、昇級試験を予定していた拳士は、本当に大変そうでした(-ω-;)
特に今回は同時に試験を行うことが出来ないので、毎回の修練日が試験日ですよと言う形で資格毎に出来るだけばらけて、集まらない・時間をかけない状態で試験をしていくんですが、どうしても不正確な形が直りきらないので、次回・次回・次回という感じで、受験拳士が入れ替わり立ち替わり試験をしていく感じになっていきました。
最終的には7/19の時点で、一応試験対象の拳士はなんとか皆さん「単演形式」で試験科目を「暗記」してから「自宅で復習して」、「道場でやってみせる」事が出来たので合格を出せましたが、これが本当に良かったのかと言えば、残念ながらやはり「組手主体」を説いている少林寺拳法のスタイルとしては、不完全としか言い様がない状態だったと思います。
これ、言葉は悪いですが、自分が出来ていれば試験は通るわけですよ、一人一人別々に試験をしているので。
でも、本来なら出来ていないところはお互いに協力し合って、なんとか頑張って乗り越えていく。
その過程で相手のことを思いやり、自分にも自信がつき、心も身体も成長していくわけですから、「コロナと共生する新しい修練の形」を模索するときは、従来の形を少し変えての試験、みたいなスタイルはもう少し考えないといけない気はしました(・・)(。。)
新型コロナウィルスの収束まで時間がかかればかかるほど、少林寺拳法の修練の素晴らしさが薄れていくというか、「これが当たり前」になっちゃうのはとてもまずいですね…
今回の試験のなかで、一つ、少林寺拳法らしさというか、あっ、この子達は間違いなく少林寺拳法の拳士なんだな、と思った出来事がありました。
今回昇級試験を受けた拳士の中には、技術を覚えるのにとても苦労をしている拳士もいっぱいいました。
彼らも他の拳士と同じように、毎回の修練日が試験日ですよ、という形で都度都度試験を実施されていくわけですが、やはり覚えるのが大変なので、何回も何回もよく出来ましたと言われるまで、次回の修練日にやり直しするというのが続いちゃうわけですね。
そんな子達を、今回試験に関係ない人や、少年部を卒業した元少年部の拳士なんかが、自然とサポートするようになってくるんですよ。
最後には、もうこの修練日で上手くいかなかったら、八月までもうちょっと頑張ろうか、というところまで来ると、本当に一生懸命教えてくれる。
本当なら一般の幹部拳士が手取り足取りサポートして、それから試験にチャレンジするのが筋なんですが、新型コロナウィルスの影響を受けているのは皆同じであるため、今までのようなサポートが十分出来ないため、資格の近い拳士達が皆自分たちでなんとかしてあげたいという一心で、一生懸命教えてくれる。
僕がとても感動したのは、この子達が最後の試験だという日に試験を開始すると、応援しサポートしてくれていた子達が回りに集まって、一つの技が合格するたびに拍手してくれたんですね。
これには参りました。
この子達は、本物の拳士なんだな、と。・゚・(ノД`)・゚・
これはコロナ前の昇級試験の時には見られなかった光景なので、日頃からずーーーっと言い続けている金剛禅の思想が、新型コロナウィルスの影響で修練が歪な形になっていたとしても、ちゃんと残ってくれているんだなぁと思いました(・・)(。。)
わざわざ普段は書かないことを、あらためて書き起こしたのは、この事を伝えたかったんですね。
新型コロナウィルスの影響はおさまっていくと言うよりは、むしろ拡大傾向にあるため、この二ヶ月の修練の形は当分続くかと思います。
昇級試験についても、やはり今までと同じ形での実施は難しいかと思いますが、それでも少林寺拳法らしさを失わず、新しい日常のなかで「人と共に生きる」ということを学んでいってもらえればと思います(-人-)合掌
(北野)