少林寺拳法で考える力を養う
先日大阪高槻道院の拳士と話をしていて、こんな事が話題になった。
「技の仕組みを道筋立てて教えてくれる先生と、技のポイントだけを説明して、後は自分で考えてみようという先生の二パターンある」
僕はどちらかといえば前者の方で、「理を知ると、どんな初心者でも上級者と同じように技がかけられる」という、開祖の教えと、本部の方針にのっとって指導しているので、出来る限り色んな角度から技の説明をするように心がけている。
一方で、僕の先生の、先代の大阪高槻道院の道院長 田邊眞裕先生は、今僕がやっているような技の仕組みを一から十まで説明してくれるというよりは、拳士が行き詰まりそうなポイントだけ解説してくれて、あとはどうすれば上手く出来るようになるのか自分で考えるべし、という指導方法だった。
この二つの指導方法は甲乙つけがたい内容で、田邊先生方式の自力で技術のポイントを発見する努力をするというのは、苦労して身につけた分だけ技術が自分のものになりやすい一方で、自力で技術のポイントを見つけるまでは、相当な回数繰り返し修練をしなくてはいけないし、ある技のポイントに気がつくのに、別のいくつもの技を知ってからでないと気がつきにくい、という事もある。
もう一方の、今の本部が提唱している「理を知ることで合理的に技を身につける」というやり方は、技術習得までの時間を出来るだけ短くして、少林寺拳法歴が短い人にでも、技をかける楽しさを知ってもらう、「技術のポイント」をあらかじめ明確にしているので、迷わずに修練を繰り返すことが出来る、というメリットがある反面、教えられたポイント以外のことに目が向かず、教えられたことが唯一絶対の方法だと間違って認識してしまう事もある。
少林寺拳法は、単なる技術屋を作るのが目的ではなくて、大切なのは「生きる力」を身につけることにある。「生きる力」とは、自分で考え行動する力の事であり、少林寺拳法の技術修練の中には、
どうやればこの技が上手くかけられるのか?という疑問を持ち
↓
指導者の言葉を正確に理解する努力をし
↓
相手と話あい、協力し合うことで技術のポイントを確認し、実際にやってみる
↓
試行錯誤と反復修練を繰り返すことで、技術の上達と相手との信頼関係を培い
↓
他人の話をしっかりきく力、自分で考える力、他人と協調する力を身につける
という流れが組み込まれている。
本部の提唱する「合理的な技術修練」は、決して一方的に教わったことを繰り返すためのやり方ではなくて、一つ一つの技のポイントを理解することで、同じポイントを持っている別の技にも応用が利くことに、いかに気がつけるか、ということが大切になる。
そういった意味では、田邊先生がずっと大阪高槻道院でやっていた、自分で考えて技術を身につける、ということと、本部の提唱する「合理的な技術修練」のどちらとも、「自分で考える」という事は同じだと僕は思います(^^)
皆さんも一生懸命考えて、技が出来るようになる喜びと、自分と相手が上達する喜びを知って、楽しい少林寺拳法ライフをすごしてくださいっ☆
(北野)