古い教範を入手しました!
※この記事の後日談にあたる、「さらに古い教範を入手しました!」も公開しましたので、合わせてご一読頂ける幸いです(-人-)合掌
※後日談の後日談にあたる、「最古の教範を入手しました!」も公開しましたので、合わせてご一読いただけると幸いです。
ちょっと前の記事に、「結構珍しい昭和40年代の科目表と教範副読本」というのを書いたんですが、この記事の中で、
『厚さが少し薄く、タイトルに「正統少林寺拳法教範」と書かれてある。これがものすごいレアな一品で、まず滅多に出物がない。』
という内容の教範を紹介した。
出物がでない、と書いてはいたんですが、先日いつものようにヤフオクを覗いていると、出ましたレア教範が!
実際に出品されたのを見たのは初めてなので、これは入手すべし( ゚∀゚)o彡°という事で、頑張って落札し、無事手元に届きました(^O^)
二枚目の写真にある赤い背表紙の教範は毎月何かしら出品されているんですが、今回のものは本当に見ない。
何故見ないかと言えば、まぁ、古いからなのと、当時教範を買って所有していた層というのは、基本的には道院長・支部長の先生方なので、赤い背表紙の教範ほど一般拳士には出回ってないからなんだろうなぁ。
今回お譲りしてくださった方も、30年以上前に支部長をなさっていた先生の方でした(^^)
この正統少林寺拳法教範の出版日時は、
- 昭和三十年八月五日 初版発行
- 昭和四十年八月一日 改訂版発行
- 昭和四十三年二月十日 再版発行
とあるので、再版版でも43年前のものになる。
初版になると、56年前のものになるので、そりゃあ、まぁ、出ないだろう、うん(・・)(。。)
ちなみに、写真に写っている赤い教範は僕が最初に購入した教範で、こちらの出版日時は、
- 1979年7月5日 改訂新版発行
- 1988年4月1日 改訂2版発行
となっている。
さらに右端に写っている上下巻のも教範で、赤い教範がそのままだと重いと言うことで、思想と技術の二つにわけたものになります。
こちらの出版日時は、
- 1979年7月5日 改訂新版
- 1988年4月1日 改訂新版2版
- 2002年1月1日 改訂新版3版
- 2006年4月1日 改訂新版4版
となっているので、基本的には赤い背表紙の教範を二冊に分けただけと思ってもいい。(※写真が一部変更されていますが)
でっと。
古い教範だというのはよく分かると思うんですが、じゃあ中身はどう変わったんだよと言えば、ざっくり言えば、「そこまで大きな改編はない」といったところ。
ただ、中に綴じられているグラビア写真(?)は赤い背表紙の教範とはだいぶ違っていて、開祖が三人掛けをしている写真や、錫杖を使っているもの、真新しい錬成道場の当時の写真や、当時の道院長・支部長の集合写真等々、赤い背表紙の教範にあるような嵩山少林寺とのやりとりの写真や、記念碑、書画の写真などは入っていませんでした。
なんていうか、「活動の記録」といった趣が強いグラビア写真が掲載されています(^^)
この教範に掲載されている当時の演武や修練風景の写真をみる限りでは、跳び蹴りがものすごい流行っていたのがよく分かります(笑)
こゆ跳び蹴り、なんて言ったかなぁ…飛龍拳だったかなぁ、たしか。
昔流行っていたとか何とか書いときながら、何年か前の高槻市の大会で僕が飛龍拳をやっていたというのは、内緒の話です(-人-)シーッ
ホントはちゃんと首元にスパッ!と飛び足刀をいれなきゃいけないんですが、まぁ、修練不足なので(笑)←言い訳タラタラ
巻末のグラビア写真には当時の大学拳法部の集合写真がありました(^^)
何となく、東京●業大学・●都大学・龍●大学の三つを選んでみた(笑)
まぁ、伏せ字にしなくても画像見たら分かるんですが(笑)
グラビア写真の話ばっかもあれなので、少し中身ついて触れてみると、上にも書いたように、本文が明らかに変わっているところなどは、そんなにないようです。
精査してみないとわかりませんが、目次を中心に中身をちらちら確認をした感じでは本文はほぼ赤い背表紙の教範と同じでした。
ただ、変更になった部分も無いわけではなくて、例えば上の写真は「第三編 正統少林寺拳法」の第三章~第五章の比較ですが、正統少林寺拳法教範の方の第四章は級拳士科目表が掲載されています。
赤い背表紙の新改訂版はこの部分が「道訓の指導について」に変わっています。
何故ここが改訂されたのか正確な理由は分かりませんが、おそらくは昭和43年当時から科目表は科目表として別冊子で用意されていたので、教範に収録しなくても良い、という判断だったのではないかと思います。
一方、教典の中で一番長い「道訓」についての説明が全くされていないのは不十分だろうということで、科目表の代わりに新改訂版では道訓についての解説が書き加えられたんだと思います(^^)
その他にも変わっているなぁと思った部分は技術編のところで、前に紹介した古い科目表の記事のところでも書いたことですが、昭和四十年代の科目表は四段で全ての技が一応終わります。
でも、その後の1986年改訂版の科目表では五段科目まで技が増えています。
この増えた技を赤い背表紙の教範はカバーしているので、上記の写真のように同じ龍華拳第二系の技術科目一覧を見ても、正統少林寺拳法の方は14送四指捕で終わっていますが、新改訂版の教範は21金的打まで含まれています。
このような追加された技術については、やはり新しい教範の方がカバー範囲が広い記述になっています。
追加された科目は別にして、同じ科目についての表記が違うのかどうか、気になるところだとは思うんですが、30個ほど確認したところ、基本的には同じ表記がされています。
全ての技を全部確認したわけではないので、全部の技が一字一句同じかと聞かれれば、はっきりとは分からないとしか言いようがないですが、思想編のところも含めて、本当の教範初版と現在の教範ほどの違いはないように思います。
むしろ、上下巻になった最近の教範は写真が一部入れ替わっていて、それを見比べてみると、構えが違っていたりする変化があるように思います。
開祖の十字受の写真が入れ替わってる理由がよく分かりません(笑)
今年度よりさらに新しい科目表が導入され、何十年にもわたって縦書きで書かれていた科目表が横書きとなりました。
表記が変わっただけでなく、科目表も用い方も少し変わってきており、それに伴い、表・裏・対構え・開構えの区別が大変厳密となりました。
去年の講習会一次だったか道院長研修会だったかで、総裁が「教範の著作権がもうじき切れます。教範は変えてはいけないものかも知れないけれども、知的財産をまもっていくためには変えなくてはけないところも出てくると思います」とおっしゃっていた。
著作権の消滅は、著作者の死後50年が最短の期間なので、2030年までは大丈夫な気がするんですが、それでもあと19年ほどしかない。
技術科目表も大きく変わり、少林寺拳法グループ全体での制度も変わりました。
思想は変わってはいけないけれども、思想と技術の伝え方は変えていく必要のある時代に入ってきたようにも思います。
新しい時代の教範は、どのような記述がなされるのか、歴代の教範を手にしながらじっと見守っていきたいと思います(^^)
※この記事の後日談にあたる、「さらに古い教範を入手しました!」も公開しましたので、合わせてご一読頂ける幸いです(-人-)合掌
※後日談の後日談にあたる、「最古の教範を入手しました!」も公開しましたので、合わせてご一読いただけると幸いです。
(北野)